人を傷つけて良い時


字汚ス。・・・ウッサイ!

前回は何故人を傷つけてはいけないのか、についてお話したね。

でもそれを常に心がけていたとしても、人は生きていく上でどうしても誰かを傷つけてしまわなければならない時がある。

何故そういった事が起こってしまうのか、については取り敢えず置いておいて、人を傷つける行為が正当化される場合についてお話しするね。

前回ママは、人は進化をする生き物であると言った。
それは生物が生きていく過程で生じる必然的なもの。
そしてそれが生物、人を生かしている原動力になっている。

例えば生きていない石は動かない。子孫も残さないし、何かの干渉を受けない限り、誰かに干渉をする事は無い。

でも生物の最小単位であるバクテリアや細菌は、子孫を残し生存競争の為に進化をしようとする。

これが生命が生きている原動力であり、人間もその基本的な活動を原動力に進化してきたの。

そしてこの形はこれからも変わる事は無く、人間が生きていく限り進化をするという事は意識するまでもなく、私達の中に存在し続ける。

私達が生活する上で起こるすべての現象は、進化をする為に必要な「情報」であって、偶然的に起こる事も、必然的に起こる事も、すべては進化の為のプロセス(過程)の一部に過ぎないの。

2012年2月7日にママが書いた「LILYの頭ん中 生命篇 偶然性と必然性」という日記のの中で、<生物の進化>の一つ目に「偶然を内包した必然性によるもの(DNAの存在)」という文がある。これは上の様な事がらを表わしているの。


よし君が生きていく上で、偶然に誰かが別の誰かを傷つけている場面に遭遇するかもしれない。もしくは、よし君を傷つける人が現れるかもしれない。

そういった時、よしくんは傷つける行為を率先して行う誰かを傷つける事が出来る。

どうして??

よし君宛ての前回の日記で、人はだれもが進化を進める役割を持っている可能性がある。その役割が何なのかは分からないけども(偶然性を持っているから)、だからこそ誰もがかけがえの無い存在であり、傷つけてはいけないと書いたね。


もし誰かが別の誰かを傷つけようとしていたら、その時傷つけられようとしている人は、進化の可能性の芽を絶たれようとしている事になる。もしくは進化の速度を遅らされている可能性がある。

それは逆に傷つけようとしている立場の人間を傷つけたとしても、結果は同じ事。
ただ、人を傷つける行為を率先して行う人間は、次にまた誰かを傷つける可能性が高い。

これは、傷つけられようとしている人が、実際に傷つけられる前に行動を起こした場合ね。

では人が人を傷つけている最中によし君がその行為を発見したらどうだろう?
まず、傷つけられている人間への被害が最小限になるように、加害行為を止めなければならない。
そして、傷つけている立場の人間に対し、最小限の労力と行為でそれを止めさせる努力をする事。

常に頭に入れておかなければいけないのは、
「全員の行為によって引き起こされる進化へのマイナス影響を、最小限にとどめる努力をする」
と言う事。

とても簡単に言っているけども、これを実践する事はそう簡単じゃあない。
あくまで、基本的な考え方を文にしているだけであって、こういった考え方もあるのだと、頭の中に入れておくだけで良いよ。

人間には感情があるからね。

でも、感情というものも、進化の過程によって必然的にもたらされた2次的な存在にすぎないという事をよく覚えておいて。

ちょっと難しいケースを想定してみようね。

何人もの人を殺してしまったとても悪い人がいるとする。
そしてその人はまた誰かを傷つける可能性を持っている。
たくさんの人が協力して、その人を捕まえて檻の中へ閉じ込めた。

そしてたくんさんの人が、その悪い人を殺せと言っている。

どうするべきだろう?


ママが考えてきた進化の大原則でいえば、その悪い人を殺すべきではないという結論がでる。

確かにその人はたくさんの命を奪い、進化の速度を遅らせてきた。
たくさんの人の感情を悲しくさせ、憎悪を巻き起こした。
その人が他人へ危害を加えている前後にそれを発見したなら、それを止めるためのあらゆる手段は取るべき。

そしてその悪い人を殺してしまえば、たくさんの人の感情を少しだけ良い方向へ動かすかもしれない。

でも、先にも述べたように、感情と言うのは進化の過程で生じる2次的なもので、進化の大原則を超える存在にはなり得ない。

常に考えるべきは、その瞬間その瞬間、人間をどうやって進化させるべきか。
その瞬間取り得る選択肢の中で、何が一番良い方法か導き出す事。

憎悪と悲しみを抱いてしまった人達に対しては、精神的なサポートをする必要がある。そしてその人達が前向きに人生を送られるよう、積極的に支える。
悪い人には、その人がもつ進化の可能性を生かす努力をしなければならない。もちろん、檻の中に閉じ込めておく事は前提でね。

例えば、行動を分析したり、遺伝子の違いを発見したりね。

この様にすべての人々の持つ進化の可能性を否定せず、それを活かす努力をする事。
日本では法律用語で「基本的人権の尊重」と言われているの。


進化から考えてきたママとは経緯が若干異なるけども、結局辿りついた場所は同じだった。

ママの考え方に納得できない場合は、イヌマエル・カントという人物をはじめとする、過去に生きた偉大な哲学者たちの考え方を勉強してみると良いよ。
ママの説明よりも分かりやすいかもしれない。
もしくは、法律を勉強するのも良いかもしれない。
たくさんの人達が進化してきた過程で集積した情報を分析し、それを社会へ活かそうと努力した結果が法律であると、ママは思ってる。

時代錯誤で可笑しなものもあるかもしれないし、まだまだ人間社会は発展途上だから不完全なものもあるかもしれないけど、今のところ基本的人権の尊重というのは、生命の根源を表わすとても重要な法律であるという事は確かだと、ママは思う。
日本含む世界の国々ではまだ死刑制度が存在する国が多々あるけどね。それはまだ人間が進化の発展途上にあるからという事をよく表わしているなあと思うよ。



ちょっと話が難しかったかな。
よしくんは、こうやってママの考えを知ることで、自分の成長につなげればいいの。
全部を理解しようとしなくてもいいし、自分の考えと違ったら否定したっていい。

ママはこう考える。
という話なだけであって、こうやってよし君にそれを話すのは、
よし君にママの情報を分けている、進化の過程の一環に過ぎないという事。

愛をこめて。
ママより。