日本の女性を守るのは誰?

私は高校生のころからバイトをして自分のお小遣いを稼いでいた。
和食料亭でバイトしたり、ブライダル関係でバイトしたり、夏はホテルのビアガーデンのコンパニオンをした。

コンパニオンと言ってもただのウエイトレス。
片手でビールジョッキを4つ、両手で8つ持って、客のテーブルに運んだり、料理を持っていったりという、普通のレストランと変わらない仕事内容である。

当時付き合っていた彼が、台湾の大きな会社の息子であった。
その為格差カップルと言っても良い程、お互いの金銭的価値観に違いがあった。

誕生日プレゼントに、サプライズでルイビトンの財布を貰った。
ブランド物など自分で買った事も無く、また10代で持つ事になるなんて思いもしなかった。

嬉しい半面、不安が頭をよぎる。

「こんな高いものを貰ったら、お返しが大変だ・・・」

そこで、少し高い時給のバイトを探した。
コンビニに無料で置いてある求人情報誌を貰って、
家に帰り、良さそうなバイト先を探す。

すると、時給2000円程度という通常の2倍もある額で、
「女の子ばかりの楽しい職場です。コンパニオン募集!」
と書いてある文を見つけた。

コンパニオンというのだから、ビアガーデンの様な仕事なのかな?
と思い、時間が遅いので時給が高いのかもしれないと、さほど疑う事無く、
書いてある番号に電話をし、面接の予約を取った。

面接場所へ行くと、薄暗い部屋の中に、テーブルとソファーが置かれていて、
如何にも怖そうな男が2人座っていた。

年齢確認等を簡単にされ、仕事内容を教えるからといって、別の場所へ案内された。

怪しいとは感じつつも、こちらから面接を希望した手前、突然帰るというのは失礼だろうと思い、ついていった。

何しろまだ10代の田舎者で、人を疑う事を知らなかったのだ。

音響がうるさく、暗い店内に案内され、その中の2畳程度しか無い小さな部屋へ連れて行かれた。

そこには店長らしい男がいて、突然私に向かってこう言った。

「仕事に慣れるために、僕が相手をします。上着を脱いで下さい」

仕事内容を事前に教えられる事も無く、面接に行った当日に連れていかれた店内の片隅で、男と二人きりになり、突然こう言われたのだ。

断ると相手に申し訳ない気持ちになってしまう性格の私は、とても動揺したが、
さすがにこれは断った。

後になって知ったのは、私が面接に行った場所は、俗に言うランパブという店だった。





またしばらくして、バイトを探していると、広告モデル募集という見だしで、
日給1万円以上、と書いてあるのを見つけた。

前回の募集も、今回のものも、コンビニ等に無料で置いてある普通のバイト情報誌である。
広告のモデルならこれくらいの給料でもおかしくないな、と思い面接に行くと、
2〜3時間待たされた末、また別の場所へ案内された。

今度はヘルス店であった。
連れていかれた男に、前回と同じようにやってみるように即される。

無理です。出来ません。といって当たり障りの無いようにその場を取り繕い、そそくさと出て行った。

私は前回の事で勉強していたから、先の事が読めて、断る事が出来たが、
初めてこの様な場所に来たのであれば、断れた自信は無い。

密室で、怖そうな男たちにプレッシャーをかけられて、即座にNOと言える10代の女の子はなかなか居ないだろう。

この様なやり方で、日本の性産業は次々と、一般の女の子達を騙し、働かせているのだ。

早い時期からある程度社会を知り、色々なバイトをしていた私でも、
10代で女である事で、性風俗に関する知識が全くなかった。

そこに突然、面接と称し、密室で実践させるのだ。
自尊心はその場で崩壊する。
人が良い女の子である程、断りにくい。


日本の女性を守るのは誰だろうか?

男達が性風俗に骨抜きにされ、この様な少女たちの犠牲に気付かない現状、
日本の女性を守るのは、同じ境遇を経験した女性達しか居ないのかもしれない。

そしてこういった社会構造には、心から失望と悲しみを覚える。
騙されている少女達を、何とか救ってあげたい気持ちでいっぱいだが、
今の私には限られた力しかないのが悔しい。